博物館における総合的なユーザ体験の拡張を狙いとして,東博内に「大日本沿海輿地全図(以下,伊能図)」を題材とした複数のタッチポイントで構成されるサービスをデザインした.
凸版印刷株式会社は,デジタルアーカイブデータの表現手法であるトッパンVRを開発し,東京国立博物館(以下,東博)と共同でミュージアムシアターを運営している.多くの場合、東博とミュージアムシアターは同一の素材をもとに企画展を行っているが、VR展と実展示を行き来する顧客が少なく、深い理解に乏しいという課題が存在していた。
そこで、本企画では,伊能図を題材として,4つのタッチポイントを設定し、これらの内容を連携させ、ユーザに提示した。具体的には、ミュージアムシアターの前に設置した、インタラクティブ映像展示で関心を抱かせ、ミュージアムシアターVR作品「伊能忠敬の日本図」で深い知識を提供する。さらに、展示室に向かう中庭で、伊能忠敬歩測ワークショップを実施、実体験として知識を理解させる。その後、「伊能忠敬の日本図」の実展示に移動し、知識と体験を活用して、実展示を鑑賞するという流れである。
評価の結果,受動的なミュージアムシアターの体験をより主体的なものへ改善できただけではなく,シアターと実展示の効果的な連携を実現できたことがわかった.
サービスデザイン, 2012-2015
岩崎花梨: UXデザイン
武田港: ハードウェア・エンジニアリング
柴崎美奈: UXデザイン
神山洋一: ハードウェア・エンジニアリング
吉野弘一: コンセプト、コンテンツ開発
小幡光一: ソフトウェアプログラミング
遠藤志津子: プロジェクト・マネジメント
徳久悟: サービス・デザイン
南澤孝太: プロジェクト・マネジメント
コラボレータ
凸版印刷株式会社
Press URL
http://www.toppan.co.jp/news/2014/07/newsrelease140711.html
受賞
徳久悟, 吉野弘一, 小幡光一, 遠藤志津子, 岩崎花梨, 武田港, 柴崎美奈, 神山洋一, 南澤孝太.
東京国立博物館・特集展示「伊能忠敬の日本図」とミュージアムシアターを活用したサービスデザインプラクティス
日本バーチャルリアリティ学会・論文賞
15 September, 2016
学術論文
徳久悟, 吉野弘一, 小幡光一, 遠藤志津子, 岩崎花梨, 武田港, 柴崎美奈, 神山洋一, 南澤孝太.
東京国立博物館・特集展示「伊能忠敬の日本図」とミュージアムシアターを活用したサービスデザインプラクティス.
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.20, No.1, pp.3-14, March 2015.
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